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harutanaoki's blog

シンガポール在住 春田直樹の日記

「シンガポール釣行紀 ~船上1泊2日・南シナ海遠征(後編)~」

どもども、前回の続きです。

 

ちなみに前回貼り付けた写真に写っている船、よく見ると分かると思いますが、砂の山を積んでます。

シンガポールに砂運んでるんです。

ビーチを作るために。

そう、シンガポールで目にするビーチは、全てが人造ビーチなのです。

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さて、2014年年明けの初・釣行、さらには初・海外遠征という

胸が高まる条件が揃い過ぎているというのに、釣果という意味では、キビシ過ぎる今回のツアー。

そんな中、無常にも時間だけが過ぎ・・、気付けばもう0時を回り、翌日の深夜2時。

エディーはと言えば、釣る前からデロデロに船酔いし、

風上からマーのしぶきを私のいる風下に散らしまーくり、

その後、船室でナ・マーコと化するという、アラマーな状況。

(ちなみにマレー語で「アッラッマー」は「あらまぁ」の意・・・)

 

さらには激しい雨まで降り始め、一人、また一人と竿を置き、船室に入っていくのでありました。

真っ暗い海の上で、残ったのは、僕を含めて3人。

そんな私も、「もういい加減仮眠しよう。」と竿を置き、船室で休もうとしたその時、エディーの姿が・・・。

波も収まったし、体力も多少回復したところで、釣りを始めようというのだ。

「釣れてないよ・・?」と声をかけるも、せっかくの海外遠征、少しでも糸を垂らしたい様子。

そんなエディーを背に、僕は船室に入り、空いたベッドにもぐりこみ、瞬く間に眠りに落ちたのでありました。

 

・・・・・・

 

2時間ほどが経った頃、妙な胸騒ぎに目を覚ました私は、いても立ってもいられず、

熟睡するメンバーを起こさぬよう、静かに船室から外に出てみることにしました。

 

そこで目にしたものは・・

 

なぜか、エディーがフンフン言っている。鼻息がフンフンと荒い。

エディーの持つ竿に目をやれば、グニャリと大きく曲がっている。

 

は、はぁぁぁあああ!?

 

まさかまさか、掛かっている。魚が掛かっている。

しかも、あろうことか、あのエディーに。

予想外過ぎるパターンに驚きつつも、

「なに、釣れてんのそれ!?」

と声をかけると、

フンフンと荒い鼻息の合間に、

「何か来た・・!」と言ってる。

 

まじかよ・・と思いつつも、魚が上がってくるのを待つ。

 

漆黒の海から姿を現したのは、真っ赤なフエダイの一種。

レッドスナッパー。

しかも今回船で上がった魚の中で、一際大きい。

船にいる数人と、「でけぇぇぇっ」と言いながら魚を囲み、こうしてはいられないと、全員が臨戦態勢に。

 

気分を良くしたエディーの、

「ユー、良いタイミングで起きてきたじゃーん?」

という、急角度からの発言に、軽く気分を害しつつも、

「オッケーサンキューありがとね」と全力で軽く流す。

サイコーのタイミングで起きてきたナマコはお前だっての。

 

とにかく、いるなら100%釣れる。

釣り方、魚の種類からして、いれば100%喰ってくる・・。

 

仕掛けを落としてまもなく、予想通りガツンと来た・・。

一気に竿を振り上げて合わせたい気持ちに駆られたが、今朝のことを思い出した。

半分だけ齧られたエサ・・。

エサを丸呑みにするタイプの魚ではなく、大きさの割りに、2,3回に分けて

飲み込んでいくタイプでは無かろうか・・。

 

と思っていたら、もう一回ガツンと来た・・・。

 

「ナオキー来てるよー!」と声を掛けられるも、

まだまだまだまだ・・・、あと一回、あと一回・・と我慢していると、バリバリバリーッっと来た。

 

思い切って竿を振り上げると、ガシッと手応えが残り、そのまま竿が水面まで引っ張り落とされた。

「ウッヒョーーー!!」である。

漫画・釣りキチ三平を読んだことがある人なら分かるかと思うが、

魚がつれたときは「フィーッシュ!」などと、意味の分からない横文字を叫ぶのではない。

「ウッヒョーーー!!」と叫ぶのが正式である。

 

「ユー、まじで良いタイミングで起きてきたよー」

とまたもやエディーが急角度でかましてくるが、ガン無視。頼むから一旦黙ってろマジで。

 

バリバリバリと竿が引っ張られ、「グヘヘヘ」と悪魔のような笑みを湛えつつ、

久々の大物との駆け引きを楽しむ。

いよいよかと、歓喜の頂点に達したその時・・!!

 

プチンと切れた。

 

は・・?

 

緊張の糸が切れたのではない、リアルに釣り糸が切れた。

いや、緊張の糸も切れた。

 

へ・・・?

 

 

 

少し前にも書いたが、かつて大学のキャンパスで「縦の糸」を完全に捨てさった女性を

見かけたことがあった。

あの人はもしや、今夜のことを暗示していたのか・・?

だから彼女は横の糸だけに・・?

 

夜の南シナ海に、

「ね、縦の糸なんてイラナイって言ったでしょ?」

と甘く響いた気がした。

 

 

「まじかよぉぉぉぉぉ!」

周りがシンガポール人とか関係ない。

純然たる日本語で言いましたよ。まじかよぉぉぉぉっって。

巻き上げてみて分かった。

結び目のところから切れてる。

少し専門的なことになるが、言い訳タイムだ・・。

 

僕が毎週のように海へ川へと釣りに出かけていた10代の頃から比べて、今の釣りは随分と進化している。

最も大きく変わったのは、釣り糸そのものだ。

今やその頃より、何倍も細くて強い釣り糸が主流になっている。

ただその釣り糸には不思議な弱点があって、普通に引っ張ったら10キロの強度があるとしても、

結ぶと、その結び目で極端に強度が落ち、5キロぐらいで切れてしまうという。

そのため、もう一手間加えた仕掛け作りをする必要があるのだが、

今までそれが理由で切れたことなど無かったし、この強度があるのに、結び目で強度が50%ダウンとか、

どうせ頭でっかちのオタクな理論だろと気にしていなかったのだ。

 

ところが、それは本当だったと、認めざるを得ないようだ・・・。

こういうのはマジで悔しい。

色んな意味で悔しい。

こうして、少年はまた一つ大人になっていくのである。

35才にもなって、分かり始めたマイレボリューションの階段を上っているのである。

誰かに伝えたいmy tearsを、誰にも悟られないよう、一人静かに飲み込むのである。

そうこうしてる内に、エディーがもう一匹釣り上げた。

さっきよりデカイ・・。

 

ぜんっぜん喜べない。まっったく喜べない。

性格が悪いとか、もはやどう思われてもオッケー。カモン。

もし仮に、相変わらずマーを連発しつつ、自らのマーにまみれた悪臭放つ魚を釣り上げたというなら、

必死で笑いをこらえつつも、共に喜んで差し上げようってなもんだ。

ところが、荒波の中、誰もが粘りに粘って釣れなかったその日最大の魚2匹を、

よりによってエディーがムックリ起きて2時間後にとは、これは頂けません。

恐らくかのマザーテレサですら、「あらっ、あなたの分の朝御飯忘れてたわ」と、

時間差でささやかなイジワルを執行したであろう。

と、思いたい。

 

しかし限られた時間の中では、そうも言ってられない。

僕も仕掛けを作り直して、再投入した。

 

 

 

そのまま、南シナ海の夜は明けた・・・・。

「ウッヒョーーー!!」と奇声を発する機会も、その後訪れることは無かった。

 

ゾロゾロとメンバーが起き出し、エディーの釣った魚を囲んでいる。

結構おっきいねーなどど口にしつつも、タイミング悪く眠りに付いてしまったことへの無念さを

滲み出していた。

シンガポールへ向かいつつ、何度か船を止めて糸を垂らしたが、そのままほとんど釣れないまま帰港となる。 

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 (こうやって並べると結構釣れたように見えるかもしれないが、魚が掛かって釣り上げるまで長くて5分とすれば、11人が24時間釣ってこれというのは、相当な忍耐力を要するのである・・・。ちなみに左上2匹が、エディーの釣り上げたもの。)

 

荷物を運び出しつつ、「いやしかし今回はハードな旅だったね」と、口々に言葉を交し合う。

シブい釣果だけじゃなく、荒波に、豪雨に、厳しいカードの揃った船旅だった。

そこへエディーがやってきて、

「いやー確かに今回はハードだったけど・・うんっ!悪くないツアーだったよね、うんっ!」

と無邪気すぎる発言をマーした。

全員、どう答えていいのか分からず、当惑気味。

「エディー、気持ちは分かるけど今はマズイ、それは帰ってから同居してる母ちゃんだけに言いな、

誘ってくれなくなるぞ・・」とハラハラしつつ、船を降りた。

(事実、次回のツアーの誘いはエディーの元には届かなかった・・。のだが、何となくそんな気がして、「幹事のデビッドからこんな誘いあったんだけど・・」ってメールしたら、数分後、「オッケー、今電話して予約したわー」との返事。オレ、時々オメーの無邪気さが恐いよ・・)

  

 

そんなこんなで、初・海外釣行は渋味と苦味と一瞬の興奮の入り混じった、複雑な味わいでありました。

 「てか春田、最近釣りばっかり行ってて、釣りのことえらく熱心に語るわりには、全然釣れて無くない?」

とかまったくもって意味不明な内容は、一ミリもよぎらせないでほしい。

それに関してだけは、念入りにお願いしたくお願い致しますので、その辺り、何とぞお願い致します。

 

そしてまた明日も、私は釣りに行くのであります。 

先々週ぐらいの釣り船で仲良くなった、マレー系シンポーリアン・ズールに誘われ、

島の南側、サウスエリアでの日帰り釣行であります。

たとえ釣れなくとも、釣りは楽しいのであります。

常に何が起きるか分からない、予測不能なものが自然であり、

それを相手に遊ぶのが、釣りの醍醐味なのであります。 

そう言い聞かせているのではなく、心の底からのマーであります。多分・・。

 

それでは、長々と読んで下さって有難うございます。

今回はこの辺りで。。

次回は1月19日に更新致します。