「シンガポール・初釣行紀 ~アジアの怪物 その1~」
どうもです。
「言葉に出せば願いは叶う」などということは、もはや仮説というよりも、
定説となりつつある、昨今。
「釣りいきたいんっすよねぇ・・」と漏らしに漏らし続けて数ヶ月、
まるでその定説をさらに裏付けるかのように、関連会社の釣り企画に参加できることに。
ついに来たかと。
初の海外フィッシング、ついにこちらからではなく、あちらの方からやってきましたかと。
引き寄せの法則ですかと。
「こちとら高知の海辺の育ちじゃけん、その辺はお手のものじゃけぇ。ワシに任せてつかぁさいや。のぅ?」
と、戦後間もなく途絶えたであろう濃厚な広島弁で、速やかに参加表明。
シンガポール人が6割ほどのメンバー計8人で漁船に乗り込み、
シンガポールとマレーシアの間の海峡にて、初海外フィッシングを開始致しました。
未だ見ぬ「アジアの怪物」の出現を想定し、気合十分、準備万端で臨みました。
が、何も起こらないまま数時間が経過。
いつしか、「波が来た」「風が吹いた」といった、全く気付く必要の無い情報だけで頭がいっぱいになる始末。
完全にテンションが下がり始めた船内。
「釣りっちゅうんは、ちーと辛抱が必要じゃけぇ。ゆうたらピストルの扱いと一緒じぇけぇ。のぅ?」
と分かるような分からないような、エセ広島弁を呟いてモチベーションを保つことさらに数時間。
結局、その日釣れたのは、「アジアの怪物」どころか、「貝つぶ」のような小魚3匹。
しかしこれで気が収まるわけもなく、ネットや釣具屋にて情報収集すると、
「シンガポールは何と言っても南側だ。魚の大きさも量も全然違う。」という声を多数入手し、
そもそも向かった場所が間違っていたと、南側であるべきだったと一件落着。
釣具屋の兄ちゃんの「南側」に対するプッシュも凄いものがありましたし、
翌週は南側に向かう漁船に乗り込むことに決定。
「アジアの怪物」、こういった試練を与えつつのご対面ですかと、
不敵な笑みを浮かべっぱなしで一週間を過ごしたのであります。
当日の港、他の釣り人はほぼシンガポール人というアウェイの空気の中、
「わしはニッポンの高知ゆうとこからきました、春田言うもんですけぇ。こっちの釣りはまだ初心者ですけんど、一応釣りのことは分かっとるつもりですけぇ。海はどこでも繋がっちょりますけぇ。どうか一つ、よろしくたのんます。」
と心の中だけで自己紹介し、無事出航。
ちなみに、もし朝日ソーラーが一枚あれば、シンガポールの電気全部まかなえるんじゃないかってほど
強烈な日差しでありました。
参加者の様子を伺うと、どこか皆さんこ慣れた感じだし、
負けじと「やっぱ南側っしょ。」と玄人感を演出しつつ、釣り始めるも、しばらく変化起きず。
まぁまぁ、そういうもんです、釣りって。
良くも悪くも、予測できないと言いいますか。そこが面白いわけで。
そんでもって、そのまま8時間が過ぎました。
全員で、ひたすら待ちに次ぐ、待ち。
「このまま一斉に探偵にでもなりましょうか」って提案しそうになるぐらい、異常な待ち具合。
最終的には、別の釣り客が2匹ほどそこそこの大きさの魚を釣り上げてましたけども、
乗客8人が一日頑張って2匹って、効率悪過ぎやしないか。
仮にこのまま漂流したら、食料すぐ足りなくなる。
半日で餓死者でます、これ。
「これが噂の南側なのか?」「もしや・・また北側来てない?」と、何度も景色を確認するも、
南側で間違いない。
確かに島の南側から真っ直ぐ出て、北側に到着って、そんなに地球小さくない。
しかも、自分だけ釣れないというならば、まだリベンジのしようがあるが、
船全体がシブすぎるとなれば、この先どうすれば良いというのか。
いや実は後半1回釣れてたんです。
釣れてたんですが、途中で逃がしてしまいました。
なぜかって、つり針が折れました。
金属製の頑丈なつり針が折れるなんて、そうそう起きないことなんで、
「え、超デカかったんじゃない!?」なんて皆さんから注目を浴びまして、
「そうなのかなー、いやー参りましたわー」なんてまんざらでもない顔してましたけど、
僕だけ知ってます、手ごたえ、全然大したこと無かったっす。
とてもじゃないけど、針折っていくような代物じゃなかったっす。
ただひたすら、記録的に運が悪かっただけで、数千本に一本あるかないかの不良品を、
バッチリ引き寄せたってだけの話っす。
いわゆる「逆・引き寄せの法則 」っす。
いやそれにしても、あの釣具屋の兄ちゃん・・・、
「あ、南側行くんだー。あそこは最高だよー?これぐらいデカイの使わないと、持ってかれちゃうよー?それこそワンウェイチケットになっちゃうからー。」
ってグイグイ煽ってきたけど、あれ何だったんだ。
いくら商売とは言え、発信する情報と現実が乖離し過ぎじゃないかって。
いや確かに、時間と参加費とエサ代だけがひたすら波間に消えていくという意味では、
「ワンウェイチケット」だったけども。
もしやそういう意味も含まれていたのかと、あるいは南側ってもしや南半球全般のことかと、
念のため、確かめに伺いたい。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり・・・。
帰り道、同じ船に乗っていた細身のシンガポール人の兄ちゃん・エディーに、
「南側はもっと釣れるって聞いて来たんだけどなぁー、北側より酷いわー。」
なんて話してますと、
「いや、ここだけの話な・・・」
と意味深な様子。
「実は、ここの船長、全然腕が無いんだわ。前から二度と行かないって決めてたんだけど、今日は友達の付き合いで仕方なく来たんだわ。で、やっぱりダメだったと。俺がいつも乗ってる腕利き船長とは大違いだわー。」
ってなこと言うもんで、アンテナ全開でビシビシ質問を重ねていきますと、
その日、魚が全く喰いつかなかったせいもあるのか、
「お、お前って、喰いつきハンパねぇな・・・。」
といたく喜ばれ、瞬く間に「ブラザー」と呼ばれ始め、あれよあれよという間に、
翌週には、彼のオススメする、その腕利き船長の船に乗って共に釣りに行くことに決定。
これで3週連続。
3度目の正直、来ましたかと。「アジアの怪物」、ジワジワ追い詰めてますよと。
現地の情報、しかも相当な釣りマニア・エディーからの情報ということで、
これでもう何一つ、心配すること無し。
週明け、「今回は釣れたの?」と数回聞かれましたけども、
「あ、もう大体事情分かりましたんでー。その辺はもう全然大丈夫なんでーっ。」
と、全く答えになっていない答えを喰い気味で返しつつ、何とか一週間を乗り切り、
当日を迎えたのであります。
<続く>
※次回は12月15日に更新致します。
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