harutanaoki's blog

シンガポール在住 春田直樹の日記

「善悪のスタンダード」

どもども。

 

昨日スーパーマーケットに行きましたら、出口付近にどこか懐かしい匂いの建造物が

設置されておりまして、なんじゃこりゃと近寄っていきますと、

かつて何度か見たことのある、とあるご夫婦が団欒中でありました。

しかし、見れば見るほど、懐かしさよりも、底知れぬ違和感の方ばかりが増してゆき、

気付けば足を止めて呆然と眺めておりました。

  

f:id:harutanaoki:20131129204906j:plain

 

というのもこちらのご夫婦、明らかに居間でお食事中かと思うのですが、

部屋の上段にはまるで屋台かの如く「おでん」「たこ焼」「ラーメン」と書かれた

垂れ幕がぶら下がっており、挙句の果てには「祭」とまで書かれております。

 

「サプライズでサブちゃん登場か?」などと期待しましたが、それらしきステージも見当たらず。

そもそも、シンガポールの人々がサブちゃんの存在を知っているかというと、

恐らく全くもって知らないと思われます。

アイドル系ならまだしも、買い物の途中に、突如、熟しきった風格の演歌歌手が登場となれば、

サプライズというよりも、戸惑いの方がはるかに強いでしょう。

 

それにしてもこちらのご夫婦、恐らく企画担当者からは

「いやもう、お二人にはいつもの感じでお食事して頂くだけで結構ですんでー、えっもうゼンゼン普段着の感じでー!」

などと軽く依頼されたのではないかと思うのですが、蓋を空けてみれば、がぜん、

寄ってらっしゃい見てらっしゃいの世界。

 

しかもお母さん、まったく詳細を聞かされていなかった様子で、テーブルにはお寿司、そばといった、

垂れ幕メニューにはかすりもしない一品ばかりをご用意。

「和食って言われたから・・」との不満の声が、ありありと聞こえて参ります。

 

そういうしている内に、「祭り」表示に煽られてか、子供達が沸いて出て参りまして、

土足で居間を走り回るわ、食事中の寿司をベタベタと触るわのやりたい放題。

続いて若者達も登場し、「オー、ドラゥエモゥン!」などと、

発音が良いのか悪いのかよく分からない呟きと共に、記念撮影を開始。

「祭」の臨場感が増してゆきます。

 

f:id:harutanaoki:20131129204818j:plain

f:id:harutanaoki:20131129204842j:plain

 

何気無い日本の居間が、外国の人々にとっては非常に新鮮に映るようで、

皆さん入れ代わり立ち代わり侵入しては、記念撮影をされていきました。

 

しかし正直、日本男児としては複雑な思いを抱かざるを得なかったのも事実・・。

 

「お邪魔します。」の一言も無しに、ズカズカと他人の居間に上がり込み、

ましてや、この夫婦が笑顔を絶やさないことをYESのサインとみなし、

やりたい放題の限りを尽くす人々・・。

 

一人の日本男児として、「マナーってもんがあるだろう!」と思わず一喝したくなりましたが、

そこはグッと堪えておりました。

そう、ここはシンガポール。

日本の文化を無理に押し付けるわけにはいきません。

 

しばらくして人だかりが落ち着いた頃のこと、なぜか無性にこの居間にお邪魔し、

「いやー大変でしたねー。やっぱりほら文化が違うとねー。」

などと、お二人の苦労を労って差し上げたくなりました。

 

そして一人、「お邪魔します。土足で失礼致します。」と、日本式の丁寧な挨拶と共に、

お部屋にお邪魔させて頂き、その朗らかな笑顔に甘えて、席に着かせて頂きました。

 

f:id:harutanaoki:20131130152304j:plain

 

が、なにやらどうも居心地がヨロシクナイ。

外から見ている分には、日本のぬくもり、といった空気なのですが、一旦中に入ると、

そこかしらに漂う「作られた」感・・・。

本当にこれは、この夫婦にとっての「日常」なのだろうか・・・

この日の為に用意された、作られた、この場限りの「ぬくもり」ではないのだろうか。

そして息子さんは一体どこに・・・?

 

この夫婦・・・、どこか変だ・・ 。

 

 

などと訝しがっていますと、係員の方が来られまして、「立ち入り禁止ですので」と注意されまして、

「あ、すいません」とあっさり強制退去となりました。

 

 

つまり、記念写真を撮るのはOKだけど、テーブルに着席してくつろぐのはNG、というわけです。

「へーっ、なんだか変わった文化だなー。」などと思いつつも、

「いや、確実にそれ、グローバルスタンダードだな・・。」と、深く反省致しました。

 

そんなわけで、皆様も海外に行かれる際は、是非その土地の善悪の基準というものに、

ご注意なさって下さい。

 

今回も読んで下さって有難うございました。

次回は12月8日に更新致します。

ごきげんよう!!

 

エスター [DVD]

エスター [DVD]