harutanaoki's blog

シンガポール在住 春田直樹の日記

「前もってキューブリック」

どうもどうも。

やはりこの「次回はいつ更新します」宣言は、中々効果的なようであります。

どうやら私にも「期日を守る」という、社会人として「イケてる」能力が備わりつつあるようです。

 

「いやそれは最低限だろ」と言われる方もいらっしゃるかと思います。

しかしこれまでの私の歩みを思えば、「期日を守る」という行為、それはもはや

「死ぬまでに一度は超えてみたいハードル」とでも言うべき壮大なテーマでありました。

昨日をもって私は35才になりましたが、このタイミングで期日を守ることが出来、

また一つ、ホットコーヒーを美味しく感じておるのであります。

 

しかし上には上がいるものです。

数年前、こんな人に会ったことがあります。

何かの話の流れで、その人は普段の仕事について、

「何でも前もって終わらしておくよね。後でバタバタ慌てるの嫌だから、前もって、前もってね・・」

とサラッと言い放ちました。

 

「え・・・!? 前もって・・・? 期日の前に・・・・?」

 

きっとその人にとっては、とうの昔に身に付けたごく当たり前の行為だったのでしょう。

驚くべきことに、さしてその特殊能力を誇示せんとする気負いも無く、

淀みなくその後も話は続いたのであります。

しかし私はそれ以降の内容を全く記憶しておりません。

それまで「なるほどね。」とか、「確かに・・。」などと相槌を打っていた私の軽薄さたるや・・・。

目の前のお方とはそもそもの次元が違うではないか・・・。

途端にある種の畏怖すら憶えると同時に、すっかり打ちひしがれてしまったのです。

 

その人はたった2秒ほどの間に「前もって」という言葉を3回も連続使用したのでありますが、

私はこの時の衝撃を忘れることはないでしょう。

あの日以来、「いつか私も“前もって”みたい」、そう心密かに願っております。

 

 

さてそんなところで、今週も数本映画を観ましたが、中でもキューブリックの映画を2本、観直してみました。

賛否両論ありながらも、SF映画の金字塔と呼ばれる「2001年宇宙の旅」と、

イギリスでは過激さゆえに上映禁止にまでなった問題作「時計じかけのオレンジ」であります。

 

2001年宇宙の旅 [DVD]

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時計じかけのオレンジ [DVD]

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どちらも中学生の頃に観たのですが、その時は何が面白いのか、あまりよく分かりませんでした。

「プリティーウーマン」のジュリア・ロバーツの方が、よっぽど刺激的で、よっぽど魅力的で、

100倍コーフンさせてくれましたし・・。

(そう言えば久しく映画女優にときめいてないわ・・・) 

 

ところが今になって観返してみると、まさにセンスの塊のような監督であることに気付かされます。

何よりどちらも作品全体が、単純に「カッコイイ」・・。

CGをふんだんに駆使した最新の映像、これでもかと様々な刺激を盛り込んだ映画を

見慣れているにも関わらず、

制作から40年以上経っても色褪せない「2001年宇宙の旅」のスケール感。

「時計じかけのオレンジ」のアレックスを取り巻く世界のカッコよさ・・。

 

ただ、それだけでは賛否両論には到らないのです。

 

「2001年宇宙の旅」では、歴史に残る映像美とストーリー展開にも関わらず、

補足説明的な内容がほとんど無いのです。意図的にカットされておるのです。

結果、「なんか凄いんだけど、なんか良く分からない・・・」という感覚が延々と続き、

気付けば睡魔に襲われております。

 

片や「時計じかけのオレンジ」の場合、「セックス、暴力、快楽」といった生の現実を過激に描写して、

若者の胸をドキドキさせ、紳士淑女のお怒りをオトナ買いする一方、

根底には社会に対する鋭い批判と、深い哲学が込められております。

結果、「なんか気分の悪い映画だけど、なんかそれだけでもなさそうだ・・」

という実にスッキリしない気持ちに襲われます。

 

すなわち、ホッとしたり、ホロッときたり、スッキリするのではなく、「混乱」が残ります。

そしてそれこそが、キューブリック作品の魅力なのです。

観終わって、終わりではないのです。

 

「なんでお金を払って“混乱”しなきゃならんのか?」という問いも、実にごもっともであります。

私も特にエライ人の前だと「いやはや全くその通りであります。実に馬鹿げた話でありますな。ナハハ!!」

とヘコついてしまうこと間違いなしと思われます。

とにかくエライ人にはスッキリして頂かないといけません。

しかしながら、

「なんでお金を払ってまで、“有りがちな結末”を求めるのですか?」という問いにもまた、

一抹の真実があると思われるのです・・・・。

 

 

突然ではありますが、明日からまたお仕事ということで、そろそろ私も寝なくてはなりません。

そう、“前もって”、寝るのです。

お仕事中に寝てしまうという、水戸黄門並に"有りがちな結末”を避けるべく、“前もって”、寝るのです。

 

それでは皆様、ごきげんよう。

こんな行き当たりばったりの日記を最後まで読んで下さって有難うございます。

次回は10月27日に更新します。“前もって”お伝えしておきます。