harutanaoki's blog

シンガポール在住 春田直樹の日記

「開高健からのスピルバーグ ~子供と大人~」 続き

 

ジョーズ [DVD]

ジョーズ [DVD]

 

時が流れるのは早いものです。

少しでも更新ペースを上げようと、前回の記事の最後に (続く) と書いてみたのでありますが、

私の貧弱な意志力を、そんなありふれた2文字のロープで縛り上げることなど、到底困難だったようです。

自己啓発本でよく言われるように、これによって深層心理に何かしらの変化が生まれるはずだと

踏んだのですが、どうやら我が深層心理、「遅い更新を続ける」という意味で受け止った可能性があります。

ヌルヌルと抜け道を探しては逃げ出してしまう、活きの良いウナギの様であります。

 

そんなわけで、改めて観てから既に2ヶ月近く経ってしまったのでありますが、

映画「ジョーズ」についてであります。

子供の頃に何度も観るとストーリーが頭に入り過ぎて、再度観る機会が無い作品も多いのですが、

私にとって「ジョーズ」もまたそんな作品の1つでした。

 

しかし改めて観て、その腹立たしいまでの巧みな演出、描写に、私は大人になった今、

再度丸呑みにされてしまいました。

スピルバーグって凄いなと・・。

そんな今更過ぎる感慨が、過去最大級に込み上げて参ったのです。

名シーンだらけの本作ですが、個人的なハイライトは3つ。

 

(1)「百戦錬磨のサメハンター・クイント登場」

サメ退治の懸賞金3000ドルについて、市民が集まってワイワイと意見を交わしております。

会議はまとまらず、ヤレヤレ、これじゃラチがあかねぇわと思われたその突如、

会場の一番後ろでギリギリギリーーーッと黒板を爪で引っ掻く一人の男。

「ナニゴトカ」と眉を顰めて一斉に振り返る人々。

全員の沈黙を確認した後、

「10000ドル出すなら俺がやってやろう。」と法外な額を要求。

 

このワンシーンに溢れ出す不敵さ、憎たらしさ、アクの強さ、そこはかとなく漂う頼もしさ・・・。

西部劇を連想させるこの瞬間から、この映画の主役はクイントであることが決定します。

黒板を引っ掻いて登場した人物って、歴代映画でクイントだけじゃない?

 

 (2)「サメ捕獲に失敗したジモティー2人に訪れる、寂しい夕暮れ」

賞金目当てにサメ捕獲に乗り出した、おっさんジモティー2人組。

鉄のチェーンを桟橋に括り付け、その先にかあちゃんに内緒で持ち出したデカイ肉をブッ刺して、

いつでも来やがれと万全の体勢。

狙い通りモンスターは喰らいつくものの、頑丈な鉄のチェーンは沖に向かって物凄い勢いで走り出し、

ついには桟橋ごとあっけなく崩壊。

海に投げ出されるおっさん。

それに気付いたモンスター、スピードを緩めたかと思うと突如方向転換し、

今度はおっさん目掛けて走ってくるではないか。

その姿は見せないが、モンスターに繋がれたままの桟橋が必死で逃げ惑うおっさんの背後に迫る。

間一髪、何とか逃げ切ったおっさん。生き延びた安堵とあまりの力量の差に茫然自失。

夕暮れに包まれながらポツリ。

「もう帰ろうや・・」。

そう、それがいいと思う。生きてるのが一番。お家が一番。

 

(3)「何も気付いていないブロディ、戦闘体勢に入るクイント」

クイントの漁船に乗って一行はサメ退治に乗り出す。

カジキを釣り上げる際のような、巨大な道具を用いてサメが喰らいつくのを待つクイント。

一方、今回のサメ退治の責任者である警察署長ブロディーは、傍らでロープ結びを練習中。

しかし船乗りの基本であるロープ結びが何度やっても上手くできず、笑われるブロディー。

素人なんだから仕方ないが、悔しさからロープ結びに熱中していく。

サメ退治の船上とは思えぬのどかな空気の中、静かな異変が・・。

巨大なリールに巻かれた糸が「カリッ・・カリッ・・」と音を立てて出始める・・。

緊張が走り、クイントの眼つきは幾多のサメと戦ってきた猛者のそれとなる。

ゆっくりと、ゆっくりと戦闘体勢を整えてゆくクイント。

ところがロープ結びに必死なブロディは全く異変に気が付かない。

静かな船上でただ一人クイントの緊張は高まり、時間は止まる・・・。

 

「出来たぞー!!!」っとロープを持ったブロディが雄叫びを上げたその刹那、

竿は大きくしなり、大型トラックを引っ掛けたかのように糸は走り出し、リールは煙を上げる。

何が起こったのか分からないブロディーは、目を点にしてアタフタアタフタ。

戦闘モードのクイントは「船を全速でバックさせろ」「リールに水をぶっかけろ」と叫ぶ。

 

このドキドキ感。この場面転換。スゲーよ。。

ただ実際にサメが釣れる時は、少しずつ糸が出て行くはずは無いんですわ。

サメはマグロとかと一緒で泳ぎっぱなしなんで、泳ぎながらエサ喰ってそのまま走っていきますからね。

厳密には釣り方にもよりますが、ま、サメ釣りでは基本こんな風にはならない。

でもこうやって前触れがあった上で登場してくれた方が、映画としては面白い。

個人的には、ここがこの映画の最大にして最高のシーンかな。

 

 

そんなわけで、是非とも「ジョーズ」を今更ながら観て頂きたいと思います。

既に観たことがあるという方も、そろそろ一周して楽しめる頃かと勝手に察しております。

映画の醍醐味はもちろん、釣りにハマる人間がどこに魅力を感じてハマるのか、

その辺りもよく分かる作品であります。

 

ところでこの映画の影響なのか、先日マレーシア人のお客さんと、釣りに行く約束をしてしまいました。

まだ仕事もロクに覚えていない状況ではありますが、釣りをしながら仕事の話に持ち込めばオーケーと、

我が深層心理に日々語りかけております。

そして明日からは、インド人のお客さんと共にフィリピン出張であります。

はや今年3回目なのですが、ほぼ毎晩激辛インドカレーを共に食することになるため、

終盤ともなれば味覚は完全に麻痺し、胃腸はガタガタに崩壊するのです。

しかしこれもまた映画の影響か、あるいはただの小心者か、

「お望みのスパイシー度合いで参りましょう。私はいくらでも大丈夫。」と、

ジョーズ並みの異常食欲を演じてしまうのです。

 

さてそんなわけで、そろそろ荷造りをせねばなりません。

また近いうちに、非常に近いうちに、更新しようと思っております。

今後とも覗いて頂ければ幸いです。

 

それではまた次回!

 

(次回は10月13日に更新予定)